N4527BC-182
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Sense182

 カルココの実や鉱石、活力樹の実などを採取しながら、俺たちは進むが、緩いながらも傾いた地面と砂利と小石の滑り易い地面。所々に存在する炎熱トラップを回避しながら進む。

「こんなに蛇行しながら進むの効率悪いよね。もう、ダメージ覚悟で特攻しちゃう?」
「私ら前衛はそれは出来るかもしれないけど、本来の目的から外れているだろ」

 ミュウの提案とミカヅチの反応以前に、エンチャント無しでは紙装甲の俺と後衛職のセイ姉ぇが耐えられないだろ。とツッコミを入れそうになるのを我慢しつつ、地面から鉱石を拾い上げる。
 採取できる鉱石は、鉄や銀などの一般的な鉱石に混じり、火属性の鉱石であるレッドライト鉱石と土属性の鉱石であるグランライト鉱石。これをインゴット化すれば、火が朱鉄鋼(レッドライト)、土が地鉄鋼(グランライト)のインゴットになり、今回の採取mizumo
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でそれなりの数を集める事が出来た。
 今の俺では扱いきれないが、もう少しレベルを上げてアクセサリーの土台作りに挑戦したい。

「ここは採取終了。次の場所行こう」
「分かったわ。確かにミュウちゃんの言う通りよね。ユンちゃん、必要な数は揃った?」
「ああ、鉱石はまぁ、個人が使う分には十分。カルココの実は戻れば増やせるから問題ないよ。後は炎熱油だけ」
「じゃあ、少し戦闘多いけど早いルート通ろうか。ミカヅチは、先頭よろしく」

 先行して進んでいくミカヅチの後に付き従い、傾斜を進んでいく。
 広いオープンフィールドで、リアルの登山道のような道など無い。ただ、地面の各種トラップと遠方に見栄るオブジェクトを目印に進む。
 手前に見えるのは、小山程の岩であり、その周囲に小さなクレーターが出来た場所だ。

「……怪しい」
「何が怪しいかは、分からないが、まぁ、同意はしておく。露骨すぎる」

 巨大な火山弾が降りてきたような場所をミュウがクルクルと何かを調べるように回り出すが、何も見つからない。


「三合目の目印の卵石だな」
「ううっ……こういう特別なオブジェクトは、破壊すると破片がアイテム化したり、どかすとオブジェクトの下にアイテムがあるのがセオリーなんだけど……」
「いや、安直過ぎだろ。そこまで都合よく……」

 しかし、俺の声を聞かずに、岩を駆けあがり、一番上に着地したミュウ。壁キックでの立体動作の出来る人には造作も無い様だ。そして、その頂点で何かを見つけたのか、剣を逆手に持って――突き立てる。

 大岩とも言えるオブジェクトがたった一突きで縦から綺麗に真っ二つに割れ、左右に開いていく。その様子をぽかんと見上げる俺とミカヅチ。セイ姉ぇだけは、ニコニコと笑っている。
 大岩の上に居たミュウは、華麗な着地をして、大岩のあった場所から何かを拾い上げて持ってくる。

「成程ね。特定の場所にのみ判定のあるオブジェクトだったんだね。そして、中には、キーアイテム【門番の鍵】ね」
「ミュウちゃん凄い、良く見つけたね。それでボスに挑戦出来るね」
「それ、どういう事?」
「ここのボスMOBの前に門があって、オープンフィールドに散らばるキーアイテムを入手しないと入れないの」
「散らばるって事は、他にも?」
「うん、敵の低確率ドロップや同じ様にオブジェクト周辺での発見報告はあるよ。でも、あくまでは挑戦権であって鍵の次に謎解きをクリアしないと……」

 オープンフィールドで鍵を探して、ボス手前でクイズ。ちょっと変わったエリアだが、今までのただ突き進むエリアとは違った物がある。

「謎解きに失敗したらどうなるの?」
「キーアイテムの【門番の鍵】の消失かな? もしも通れれば、次から正解者のみで通れるけど……」

 セイ姉ぇは、通った事があるようだがミカヅチが罰の悪そうな表情をしている。これは、セイ姉ぇだけ通ったという事だろうか。

「問題も違うし、一度クリアした人は、謎解きの回答権が無いし……ミカヅチには、そろそろ運で突破して貰いたい物よね」
「仕方ないだろ。一つしか持てないキーアイテムとランダムで何十問もあるクイズから知っている奴を引き当てるなんて。効率悪いぞ」
「結構、時間制限に余裕があるんだから考えれば、答えは出るものよ。頭を捻れば簡単なのに」

 それは、セイ姉ぇだけだよ。というミュウとミカヅチの視線に、まぁ、セイ姉ぇは昔からその分野のゲームでは強かった。

「まぁ、新しい鍵の入手ポイントって事で報告かな? ユンちゃんもついでに鍵を探す?」
「いや、俺は良いや。このまま鍵を手に入れたら、ボスとのバトルに直行しそうで……」

 あんまり、ノリと勢いでボスと戦いたくない。ちゃんと対策と事前の準備と心構えを持って挑みたいのだ。
 セイ姉ぇも俺の意見に納得したのか、そのまま進んでいく。
 俺は、素材の採取から戦闘にも参加したが、遠距離からの射撃の効き目は余り高くない。主に、エンチャントによる支援をメインにした戦い方でより戦闘時間の短縮となり、進行速度が上がる。

 そして、四合目付近。今回の目当ての場所――火山帯の炎熱油の採取できる油池へと辿り着いた。
 赤々と明滅を繰り返す地面の明るさを受けて、表面が反射を繰り返す無色透明な油だ。水と間違うほどに澄んでおり、油特有の粘性がある。
 俺は、その油池へと近づいて、採取用の容器に油を汲んでいく。
 ビンに数本分の油を採取し終えたが、油は減る様子は無く、泉の様に湧き出る様子にファンタジーと言う感想を抱く。

「ここまで来たし。余興の一つでも見せるとするか」
「余興?」
「面白こと?」

 俺は、訝しげに眉を顰め、ミュウは好奇心に目を輝かせている。
 俺たちの反応にニヤリと不敵な笑みを浮かべるミカヅチは、遠距離系のアーツだろうか。それを遠くに見えるマグマ・ベアへと放ち引き付ける。油と火を噴く熊。この組み合わせに途轍もなく嫌な予感がする。

「セ、セイ姉ぇ……」
「はいはい、後ろに下がって――【アイス・シール】」

 薄く透明な氷壁が俺たちと油池を隔て、その向こうでは、ミカヅチが相手を押し付けるノックバック攻撃のアーツで油池へと押し込み――

「――ファイアー!」

「なっ!?」
「おおっ、まさに火の海だ」

 驚愕に声を上げる俺と呑気にそれを眺めるミュウ。
 火が油の表面に触れた瞬間、池の表面を這う様に油が広がり、目の前で業火が生まれる。
 その中で、池に浸かった熊は、自らが纏う火よりも激しい業火に焼かれ、もがき手を振り回す度に、飛び散る油が火の玉となって四方に飛んでくる。
 セイ姉ぇの用意した氷壁が無ければ、危ない場面だが、逆にそれがあるからスクリーン越しの映像を見ているような錯覚を覚える。
 ゲームで炎を見慣れたと思っていたが、これは人間の持つ火への恐怖を呼び覚ますに十分だった。

 しばらくして、火の中の熊は消滅したが、火の勢いはまだ残っており、炎熱油の採取など出来ない状態になって居る。

「ねぇねぇ。あれどうするの? ずっと燃えたまま?」
「いや、しばらくすると消えるぞ。まぁ、採取ポイントでも下手するとトラップに早変わりする。って手っ取り早く教えるために見せた」
「……」
「ユンちゃん、大丈夫?」

 余りの光景に最初に驚きの声を上げる以外、言葉が出ない。セイ姉ぇが心配になり肩を叩いた瞬間に、すとんと体の力が抜けて、その場に座り込んでしまう。

「あははっ、ごめん。びっくりして腰抜けた」
「ショック強すぎたか? 悪かった」
「いや、採取の時にも注意しないといけないのが分かったよ」

 とはいえ、すぐに復帰できそうにない。両手で顔を覆い、強張った表情を揉み解す。数秒間の沈黙の後、気力を振り絞り立ち上がる。

「もう大丈夫。目的も達成したし、帰るとするか」
「まぁ、その前にちょっと寄らない。五合目のセーフティーエリアまで」

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祝、大台の百。これからもOSOを暖かい目で見守って欲しいです。
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Sense100

 現在の所持センスは――

 所持SP28
【弓Lv36】【長弓Lv9】【鷹の目Lv43】【速度上昇Lv30】【発見Lv29】【魔法才能Lv48】【魔力Lv48】【付加術Lv24】【調薬Lv32】【調教Lv9】

 控え

【錬金Lv36】【合成Lv34】【地属性才能Lv20】【彫金Lv6】【料理Lv29】【泳ぎLv15】【生産の心得Lv40】【言語学Lv21】【登山Lv13】


 この二ヶ月でレベルは上がったが、夏休みほどの伸び幅は見せていない。
 そして、この余っているSPを消費して、一つの実験をすることにした。

 強制レベリングは、可能か否か。――多分可能だろう。

 調合の片手間に本を読んで言語学のレベルを上げたり、幼獣たちと接することで調教のレベルを上げたりに勤しんでいたが、別の時間の使い方も考えてみることにした。
 何かの片手間で状態異常になれば、訓練は可能だ。それを重点的にやれば、強制レベリングになる。

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できる状態異常は、一つにつき、1SPを消費する各種の状態異常耐性だ。毒に始まり、麻痺、眠り、呪い、魅了、混乱、気絶、怒りの八種類。
 状態異常は、1~5で表され、その継続時間は、表記される数の五倍の秒数。

 毒は、一秒間に最大HPの1%減少する。
 麻痺は、行動の阻害。
 眠りは、視界が閉じ、思考停止。まぁ、眠るのと似た感じだ。
 呪いは、一秒間に最大MPの1%減少する。それとランダムで様々な負の能力が付加される。
 魅了は、魅了を掛けた側の人間から簡単な命令を受ける。
 混乱は、敵味方問わず無差別に攻撃を始める。この時、魔法やアーツ、スキルは使えない。
 気絶は、眠りに似ているが、一定以上のダメージまたはアクションを受けると強制解除できる点が上げられる。
 怒りは、受けた者のATKとINTを上昇させて、DEFとMINDを低下させ、無差別に攻撃する。この時、魔法やアーツ、スキルは使えるために、利点とも言えるかも知れない。

 各状態異常の概要は大体こんな所だろう。あと、この状態異常の上に更に同種でより強力にした状態異常があるが、そこまで行くのはゲーム進行上、まだまだ先だろう。
 俺は、それらの耐性を習得して、装備センスも全て状態異常に切り替え、実験を開始する。
 自分に毒を盛る。今まで調合の失敗作や試作品で何度か受けたことはあるが、それはまだ弱い毒だ。自分自身が率先して受け入れるというのは、以外にも度胸が居る。

「すぅー、はぁー。よし! 男は、度胸」

 深呼吸して、自分の頬を軽く叩いて気合を入れる。
 目の前に取り出した紫色が毒々しい毒薬。セイ姉ぇに渡した奴と同種の奴を取り出し、自らに被る。
 直後に、視界が狭まる感覚と身体から力が抜け始める。これが二十秒も続くと考えると気が遠くなりそうだ。一回ごとに解毒して再度飲むなんて、かなり出費が痛い。
 そう思っている中で、身体が薄い水のヴェールに覆われ、仄かな温かさと明るさを持って体の軽くなる。完全に良くなった。と言うわけじゃないが、気持ち楽になった程度。
 毒も一段階軽減されいた。
 ――何故? という疑問に対する答えは自ら擦り寄ってくる。

「そう言えば、リゥイは、浄化持ってたな」

 状態異常と回復を両立するセンスを持つ幼獣のリゥイ。リゥイもザクロも成獣になってからレベルを上げようと思っていたために、センスのレベル上げはしていなかったために、忘れていた。

「一緒にレベル上げるか? 俺が状態異常を受けて、リゥイが即治療」

 俺の言葉に、首を縦に動かし、肯定に意思を込める。その様子にもう一匹も加わろうとするが、残念だがザクロには、この場ではレベルを上げるセンスを持っていないために諦めてもらうしかない。

「くぅ~」
「可愛い奴らだな。そんなに俺を心配するなんて」

 俺は、二匹を抱き寄せて、満足いくまで撫でる。撫で方にも微妙な違いがあり、悪い撫で方だと逃げられるが、良い撫で方だと目を細めて気持ち良さそうにする。
 ほら、この通り、俺の手によって極楽へと旅立つ二匹が――。

「――って、俺がトリップしてどうする」

 欲望を振り払い、また後で。と言い残してザクロを膝から退ける。
 万能回復のリゥイが居る今、俺は、一つの無謀を思いついた。

 工房部に飾られたコレクションの一角。俺のお気に入りの八つの指輪。
 凶悪な状態異常を誘発する効果とその反面優秀な性能。
 ここで一つ。これら装備したら、レベル上げが楽になるのではないか。
 その疑問を解消すべく、俺は動いた。


 ポイゾナス・リング【装飾品】(重量:1)

 DEF+15、MIND+15 追加効果:毒化3


 他のも、ほぼ同様の効果の品だ。それをメニューを操作し、装備を変える。
 一分間に一度チェックが入る。八つ装備しても半分がチェックを受けても四回状態異常を受けることになる。
 状態異常薬の節約になる。まぁ、このアクセサリーの存在を思い出したのは先ほどだが。

「まぁ、物は試しだ」

 最初のチェックが来る一分をただじっと待つ。待つと一分は意外と長く感じる。緊張で唾液を飲もうと喉が動く。
 じっと、俺に異変が無いか観察するリゥイ。とそれらを見上げるザクロ。
 そして、ついにその時が来た。
 最初に来たのは、毒のような視界の狭まり、続いて、指先が動かず痺れる様な感覚。後は、前後不覚になり、頭を猛烈に揺すられたような気持ち悪さ。
 一度に襲うには、膨大すぎる感覚に倒れそうになる直前、暖かい物が身体を柔らかく包み、幾分か軽くなる。しかし、気持ちの悪さやだるさは、完全には抜け切らない。
 手が動かないために、そのままカウンターに頭を倒し、震える声をリゥイに掛ける。

「……も、う、一度」

 再び現れる光で完全にステータスとしての状態異常は消えた。しかし、心因的な気だるさからまだ頭を上げられそうにはない。

「やばいな。一度に複数の状態異常は――」

 また、チェックの時間が来た。
 今度は、痺れる感覚と身体の奥から炎でも噴出しそうな激しさ。頭は熱射病の直後のように意識が朦朧とする。身体が勝手に動き、店内にも関わらず弓を構えようとする直前、リゥイの浄化が働き、動きが遅くなる。だが、まだ身体が止まらずに弓を番える直前に完全に状態異常が切れる。

「――俺は、何をしてたんだ。……怖ぇぇぇっ!」

 慌てて装備を外す。今のは絶対ザクロかリゥイを狙おうとしていた。俺が自分の幼獣を手に掛ける姿を想像して、一気に血の気が失せる。

「無理は、駄目だな。……うん。段階を踏んで地道にやらなきゃな。まずは毒から少しずつやろう」

 さっき、俺の身体とは無関係に動いたのは、混乱、魅了、怒りのどれかだろう。怖すぎる。この三つのレベリングは、誰か信頼の置けて俺を押さえ込める監視者が居ないと危ない。
 俺は、その三つの状態異常の指輪を飾り直し、再び、五つの指輪を装備する。

「よし、これで時間一杯までレベリングするか」

 やる気を出して声を上げたは良いが、再び起きる毒の視界の狭まり。だが今回は、それに加えて視界の暗転が加わり、カウンターに頭を付ける形で深い眠りに入り込んでいった。

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第4話 工学識士オーロ(前編)




 1

 頭が重い。
 関節が、どこもかしこもひどく痛む。
 喉が痛い。
 珍しいことに、かぜをひいたようだ。
 しかもかなりきつい。

 ノックの音がした。
 そろそろ朝食の時間だ。
 朝食は部屋で一人で食べるようにしている。
 いつも決まった時間に従者が持ってくるのだ。

「おはようございます。
 バルド・ローエン様」

 驚いたことに、ワゴンを押して料理を持って来たのは、カムラーだった。
 いつもならバルドはこの時間には散歩を済ませている。
 そのバルドオメガ 激安
スピードマスター オメガ
オメガ 時計 レディース
がまだベッドの中にいることについて、カムラーは何も言わない。
 何も言わず当たり前のような顔をして、サイドテーブルをベッドの脇に寄せた。
 料理を置いて、ふたを取る。
 とたんに熱せられた牛乳の甘い香りが立ち上った。

 シチュー?
 いや、スープか?

「少し熱めになっておりますので、ゆっくりとお召し上がりください。
 この壺には、湯冷ましの水に果物の絞り汁と少しの塩を入れたものが入っております。
 お休みになりながら、少しずつ少しずつ、お召し上がりください」

 うむ、と返事をしながら、バルドは不思議でしかたがなかった。
 この料理は明らかにバルドの体調に合わせたものだ。
 疑問は、どうやってカムラーがそれを知ったかだ。
 かぜであることは、誰も知らない。
 バルド本人も今朝になって気付いたのだ。
 それから誰にも会っていない。
 いったい誰が。
 その謎はすぐに解けた。
 部屋を出るとき、カムラーが、

「ジュルチャガは夜まで帰らないそうです」

 と言ったのだ。
 やつか、と思ったそのあと、次の疑問が浮かんだ。
 ジュルチャガはどうやってバルドのかぜを知ったのか。
 相変わらず油断のならない男だ。
 ガウンを羽織ってベッドに座り、料理をひとさじすくって口に入れた。

 これは!

 なんとそれは、かゆであった。
 麦がゆではない。
 プランを牛乳で炊いたかゆだった。
 食欲はなかったのだが、体はこのかゆを受け入れた。
 喉を過ぎたかゆが臓腑に収まる様子が、はっきりと分かる。
 かぜとの戦いに疲れ切っていた五臓六腑が、この思わぬ援軍の到着に喜んでいるのが分かる。
 かゆの温かさが、体のすみずみに染みていく。

 ああ。

 うまい、ということは体が喜ぶということなのだ、とバルドは思った。
 プランはほどよく煮つぶれていて、ちょうどよかった。
 それなのに牛乳は煮詰まっておらず、さらさらしている。
 ゆっくりゆっくり食べたつもりが、ほどなく料理はなくなった。
 再びベッドに戻って一眠りした。
 体がぽかぽかと温まった。
 しばらくすると目が覚めた。
 汗をかき、喉が渇いたので、果汁入りの塩水とやらを飲んだ。
 美味だった。

  くそっ。
  くそっ。
  カムラーめ。

 バルドは不思議だった。
 どうしてあんな、人を人とも思わないような傲慢無礼な男に、こんな心遣いができるのか。
 バルドの考えとしては、性格の悪い人間には本当においしい料理は作れないはずなのだ。
 もしかしたら逆かもしれない、という考えがふと浮かんだ。
 つまり、あんな男なのによい料理が作れるのではなく、これだけよい料理が作れるのだから、実はやつはいいやつなのではないか、という考えである。
 すぐにそれを打ち消した。
 カムラーはカムラーだ。
 いいやつなどではあり得ない。

 時々目を覚ましては水を飲んだ。
 夜にはすっかり体調が戻った。





 2

 翌日、バリ・トード上級司祭に連れられて、|下街《ユーエ》にある工房を訪れた。
 会わせたい男がいるという。

 工学識士オーロ。

 というのがその男の名前だ。
 識士というのは、各専門分野で優れた知識を持っていると認定された者に与えられる称号だという。
 識士の上には大識、その上には博識、という称号があるらしい。
 博識というのは一つの分野に二、三人しかいない、いわばその道の権威なのだという。

「こ、こんにちは」

 とあいさつしてきたのは、三十は少し過ぎた年齢だろうか、色白で痩せてぼさぼさの髪をした小男だ。
 なぜこんなにおどおどしているのだろうか。

「こらっ。
 オーロ。
 それが騎士様に対する口の聞き方か!
 いつもいっておるではないか。
 お前はそんなことだから、実力を認めてもらえんのだ。
 バルド殿。
 お許しくだされ。
 この男に悪気はないのです。
 知識の広さと発想の豊かさでは並の工学大識にまさるのですがなあ。
 ウェンデルラント陛下が目を掛けて、研究を支援してくださっているのです」

「あ、あの。
 すいません。
 で、その、こちらのクロスボウなんですが」

「こらっ。
 お前はまた、そうやって自分のことばかり。
 バルド殿のご用事をお聞きするのが先であろうがっ」

 まあまあ上級司祭殿、まずはそのオーロとやらの話を聞いてみましょう、とバルドは言った。
 バリ・トードの怒る様子から、この男のことを心配しているのが伝わり、悪い気はしなかった。
 また、こういうタイプの人間は、本人の興味あることから斬り込んだほうが話がしやすい。

 それにクロスボウと聞いて興味がわいた。
 パクラにもクロスボウはあったし、バルドも使ったことはある。
 しかしクロスボウというのは射程や威力では大弓に劣るし、重くて取り回しは悪く、連射速度ときてはお話にもならない。
 唯一の取りえといえば練度の低い兵にも使えることぐらいだ。
 この大国パルザムでは、クロスボウの新しい使い道があるのか。

「じ、実際に様子をみていただいたほうが、い、いいと思うんで。
 これ、撃ってみてもらえませんか」

 工房の中庭に平板の的がしつらえてある。
 バルドはクロスボウを持ち上げた。

  重い!
  なんじゃ、この重さは。

 驚いてよく見ると、非常に多くの部分が金属で作られていた。
 台座の部分など、まるまる金属だ。
 留め金も、引き金も、さらには弓の中央部分までが金属だ。

  金属と木をつないで弓を作ったのか。
  しかしこれではつなぎ目の部分が折れやすいのではないか。

「だ、だいじょうぶ、です。
 木の部分のずっと中のほうにまで、粘りの強い金属が仕込んであるんで」

 とにかく撃ってみることにした。
 巻き上げ式である。
 |弦《つる》を留め金に掛け、台座の両側にハンドルをはめ込んで、きりきりと弦を巻き上げた。
 そして矢をつけた。
 ずいぶん太い矢だ。
 重量のあるクロスボウなので、|腰撓《こしだ》めで安定させ、引き金を引いた。
 予想をはるかに超える勢いで矢は飛び出し、分厚い木の板を貫通して石壁に当たって砕け散った。
 そのあまりの威力に、バルドは呆然とした。

「す、すごいっ。
 バルドさん、すごい」

 とオーロがほめてくれたが、すごいのはこのクロスボウのほうだ、とバルドは思った。
 このクロスボウなら、誰が撃ってもこの威力が出るはずである。
 しかしバルドがそう言うと、オーロは、

「そ、そうじゃないんです。
 そんなに思いきって、ひ、引き絞れないです。
 引き絞りすぎると、弦は切れるし弓は折れるし。
 あ、危ないんです」

 それを先に言えっ。
 と思ったが心を静め、気になったことを訊いた。
 どうしてこんなに金属を使うのか、と。

「こ、この国は、良質の木が少ないです。
 金属なら、いろいろの種類が、た、たくさんあるし。
 最近は、いろんな工房で研究が進んで、粘りけがあって、も、元に戻る力の優れた金属も出てきたし」

 というオーロは答えた。
 すると、バリ・トードが、

「しかしこんなに重くては、実戦で使えないのではないか」

 と、指摘した。

「ゆ、弓と同じように考えるから、そう思うんです。
 発想を、か、変えるんです。
 何なら、台座を持って移動し、だ、台座に乗っけて撃ってもいいし。
 もっともっと重くして、もっともっと威力を高めても、い、いいじゃないですか。
 いっそ矢も鋼にして、聖硬銀のやじりをつけて。
 そ、そしたら、五十歩先のフルプレートアーマーを、一発で貫通する兵器になります。
 も、もちろん盾ごとぶち抜ける」

 バルドは|愕然《がくぜん》とした。
 確かにそんな可能性を、このクロスボウは持っている。
 そんなクロスボウが百丁あったら。
 戦争がまるで変わる。

 だがそれは残虐すぎる武器だ。
 殺さずに人質に取って身代金を得るという騎士の戦争のやり方と合わないだろう。
 それとも中原の戦争は、辺境で知っているのとは全然ちがうものになってきているのだろうか。

「ばかものっ。
 使い捨てにひとしいやじりを聖硬銀などで作ってみよ!
 どんなに裕福な騎士でも、一戦で破産するわっ」

「いてっ。
 司祭様。
 な、なぐらないでくださいよう。
 た、たとえばの話じゃないですか。
 それで、ど、どうでしょう、バルドさん。
 じゃなかった。
 バルド様。
 仕組みのほうは、だ、だいたい出来てきたんですけど。
 弓の強度が、あ、安定しないんです。
 それと、弦が。
 いろいろやって、しゃ、チャトラ蜘蛛の糸に落ち着いたんですけど。
 ほ、ほつれやすくて。
 そ、それから、もう少し弾力があれば、って。
 ば、バルド様は弓の名手だから、何か教えていただけないかなって、お、思いまして」

 自分が弓の名手だなどと言ったのは誰か。
 むろん、ジュールラントである。
 よけいな仕事を増やしおってと思ったが、口に出すわけにもいかない。

 それからしばらく話をして、金属の弓は将来性があるが、現状では木の単一素材をいろいろ試したほうがよいのではないか、と助言し、こう言った。

  育って百年たった木で作った弓は百年もつ、千年の木なら千年もつ、という。
  それも木の外側のほうでなく、中心部分を使ったほうがよい。
  ある程度の年齢を持った木で、しかも伐採してからじゅうぶん寝かせた木がよいのじゃ。
  水気も抜いておらん若木に無理をさせるから品質も安定しないし折れやすい。

 しかし、弓の素材として優れた木のほとんどがここでは手に入りにくいようだ。
 話しているうちに、あることを思いついた。
 辺境には、弓にぴったりの木を大量に抱えている家がある。
 コエンデラ家だ。
 あそこの領地の木材は最高だ。
 コエンデラ家はかつて横領した金を毎年パルザム王国に返済しているはずだ。
 その返済金の一部を木材でといえば、喜んで飛びつくのではないか。
 大きさを指定して優良な木の芯の部分だけを切り出させ、リンツ伯を通してここまで運ばせるのだ。
 あちらの経費で。
 その思いつきをバリ・トードに話すと、手を打って喜んだ。

「いやいや。
 なんと、なんと。
 最高ですな、それは!
 じつは今年の返済分も捻出できないと、猶予を願う手紙が着いたのですよ。
 私はその件について相談役のような立場でしてな。
 ふ、ふ、ふ、ふ。
 その素敵なアイデアを財務官に話したら、それはもう感謝されること請け合いです。
 むろん、材木はすべて王宮に収められますが、その一部をこの工房に回すのは問題ありませんな」

 それにしても、とバリ・トードはオーロのほうに向き直った。

「いつも言っているであろう。
 頭の中からだけ物を生み出そうとするのでなく、自然に学べと。
 バルド殿の教えで目が覚めたか。
 金属に妙にこだわるのはやめなさい。
 自然の木材の優れた特質をしっかり学び、活用しなさい」

「は、はい、司祭様。
 自然は素晴らしいです。
 木材はすごいです。
 でも司祭様。
 こちらの思う通りの木材を作り出すことはできません。
 けれども金属は、今は無理でも、いつかはこちらの思う通りのものを生み出していけます。
 そんな気がするんです。
 いつかはきっと、水に浮くほど軽くて聖硬銀より硬い金属もできるでしょう。
 糸よりほそくしなやかで、魔剣でも切れない金属もできるでしょう。
 それも自然です。
 この世にあるものは、すべて自然なんです」

 こいつ興奮すると普通にしゃべれるのだな、と思いながらバルドはオーロの熱弁に耳を傾けた。
 
 
 

************************************************
4月19日「工学識士オーロ(後編)」に続く

10.26_36
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なり休憩に入った。休憩に選んだ場所は。
 喫茶店、植物園の中のそこだった。屋外の形、鏡のハウスの中にあるがだ。
 その喫茶店の二人用の席に座ってだ。そこでだ。
 希望はコーヒーを頼んだ。二つだ。そしてそのコーヒーを飲んでだ。千春は言った。
「コーヒーもね」
「千春ちゃん好きだよね」
「お茶も好きだけれど」
 前に飲んだ、だ。紅茶のことを思い出しながらの言葉だった。
「コーヒーもね」
「それもだよね」
「そう。コーヒーも好きなの」
「嗜好品が好きなの?」
「ううん、そうじゃなくてね」
 嗜好品だからではないというのだ。千春がお茶やコーヒーが好きなのは。
「皆の味がするから」
「皆の?」
「お茶の皆とコーヒーの皆の」
 それでだというのだ。好きだというのだ。
「心があるから」
「お茶やコーヒーの」
「そうなugg emu
ugg セール
ugg ショート
の。美味しいものを皆に飲んでもらいたいっていうね」
「それがあるからなんだ」
「そうなの。だから好きなの」
 つまりだ。それは何かとだ。千春は希望にこのことも話した。
「皆の心を飲んでるから」
「それでなんだ」
「希望も皆の心飲んでるんだよ」
 彼もだ。そうだというのだ。
「そうしてるんだよ。どうかな」
「そのことに気付けば」
「そう。どうかな」
 こう尋ねるのだった。希望に対して。
「美味しいよね。そうだよね」
「うん。これまでも美味しいって思ってたけれど」
 美味しくなりたいというだ。茶やコーヒーの心があればどうかというのだ。
 このことをわかるとだ。今のコ

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辘蓼筏俊!?
源次郎は、改めて下げているビニール袋に目をやる。
透明なものではなく、薄緑色をした袋だったから外からは何が入っているのかは分からない。

で、実家に向かう美由紀の後ろ姿を確認してから、源次郎はくるりと反転をして劇場へと向かう。
既に、入場券売り場の前には何人かのお客の姿があった。


(つづく)



第2話 夢は屯(たむろ)する (その1127)

源次郎は道の右端を歩いた。
劇場は左側にある。

源次郎は、どうしてか、ストリップを見に来る客が苦手だった。
だから、moncler ダウン
モンクレール アウトレット
ダウン モンクレール
そうしたお客との距離をできるだけ取ろうとしたのだ。
言わば、迂回をしていることになる。

ストリップを見に来るからといって、そうした男性皆が好色で変態だとは思っていない。
かつては源次郎自身もその立場にあったし、こうして少しでも良い席を取ろうと開場前から入場券を買って入場口に並ぶ気持もそれなりに理解できるのだ。

それでもだ。
かつての源次郎がそうだったように、やはり気持のどこかに動物的な性的衝動、はっきり言ってしまえば「セックスがしたい」という言わば「オスの本能」のようなぎらぎらとしたものを感じるのだ。

もちろん、そうした気持があって当然だという意見には反論しない。
人間だって、大きく言えば動物の一種である。
子孫を残すための性衝動は、男女の区別なく、本能的にあって当然でもある。

それだけのことが分っていながら、それでも、源次郎はストリップを見に来る客を好きにはなれなかった。
それが、自分の中にある自分の一部を否定することになるとしてもだ。


結局、源次郎は劇場の前を一旦は通り過ぎる。
そして

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てゆっくりと時間を掛けてキスをする。
その一方で、右手を美由紀の肩から脇腹に向かって下ろして行く。
美由紀がどういったものを着ているのかを確かめるためにだ。

指先の感触からすれば、どうやら薄いスリップのようなものらしい。
腰の辺りまで指を持って行っても、まだ先があるようだった。
つまりは、腰の部分をも覆っていた。
しかも、その表面が柔らかくてすべりが良い。
良くは分からないが、シルクのような感じもする。

その腰の部分で、源次郎の指先があるものを感じた。
そこまでは無かった横への線である。

(ん?)
源次郎は、それをショーツのラインだと思った。
位置からして、ほぼ間違いは無いだろう。
つまりは、美由紀はショーツを穿いていることになる。

美由紀の腰がほんの少しだけ動いた。
まるで源次郎の指から逃れugg 楽天
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るようにだ。
そこにショーツのラインがあることを美由紀自身が強く意識している何よりの証拠でもある。
いや、意識して、そのラインを強調しているのかもしれない。


(う~ん???。)
源次郎はキスを続けながら考えている。
美由紀の着衣の状況はほぼ分かった。
問題は、それをどのようにして脱がせるか、である。

物理的に考えれば、美由紀を一旦は起こして、裾からスリップを捲り上げる。
それが最も手っ取り早い。
それを脱がせてから、次は再び寝かせて、ショーツを引き降ろす。
それがごく普通の手順だろう。

だが、それは、先ほど美由紀に拒否をされた。
美由紀は、そうして脱がされたくは無いと言ったのだ。
さすれば、他の手だてを考えねばならないだろう。


(つづく)



第2話 夢は屯(たむろ)

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すべての製品は、指定の店で最近販売カーハートで予想されますが、東京店舗分布を含んでいます女の子校正:土屋隆それを愛した。 我々は戻ってシャネル ウォレット主はアルマーニのジーンズをフィーチャー。 Principalfashionでメンズのためのアルマーニ割引デザイナーの服はhttp://ameblo.jp/chuang74衣装とよく行く靴1-2ウェア 通販 従って布団とマットレスは簡単に訪問者のための快適な宿泊施設を提供するために、どの部屋に追加することができます
 僕等は弘法麦(こうぼうむぎ)の茂みを避(よ)け避け、(滴(しずく)をためた弘法麦の中へうっかり足を踏み入れると、ふくら脛(はぎ)の痒(かゆ)くなるのに閉口したから。)そんなことを話して歩いて行った。気候は海へはいるには涼し過ぎるのに違いなかった。けれども僕等は上総(かずさ)の海に、――と言うよりもむしろ暮れかかった夏に未練(みれん)を持っていたのだった。
 海には僕等の来た頃(ころ)は勿論(もちろん)、きのうさえまだ七八人の男女(なんにょ)は浪乗(なみの)りなどを試みていた。しかしきょうは人かげもなければ、海水浴区域を指定する赤旗(あかはた)も立っていなかった。ただ広びろとつづいた渚(なぎさ)に浪の倒れているばかりだった。葭簾囲(よしずがこ)いの着もの脱(ぬ)ぎ場にも、――そこには茶色の犬が一匹、細(こま)かい羽虫(はむし)の群(む)れを追いかけていた。が、それも僕等を見ると、すぐに向うへ逃げて行ってしまった。
 僕は下駄だけは脱いだものの、とうてい泳ぐ気にはなれなかった。しかしMはいつのまにか湯帷子(ゆかた)や眼鏡(めがね)を着もの脱ぎ場へ置き、海水帽の上へ頬(ほお)かぶりをしながら、ざぶざぶ浅瀬(あさせ)へはいって行った。
「おい、はいる気かい?

ベイプ、ベイプ、ベイシングエイプを歓迎する! Principalfashionでファッショナブルな猿バーバリー blackhttp://ameblo.jp/chuang98抽象的な遡及一々はつきり返事をした。
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ドンQiaoqiao突然目覚め

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第十七話 棺桶その一

              髑髏天使  第十七話 
                  棺桶
 青年も加わり五人となった。彼等はそのうえでまたそれぞれ集い話をしていた。
「これでまた賑やかになったね」
「そうですね」
 今彼等は水族館の中にいた。薄暗く水槽が並ぶ中をそれぞれ歩きながら話をしている。その黒い壁の中に埋め込まれている水槽の中には様々な魚達がいる。
 見ればどれも非常に変わった形の魚ばかりだ。タツノオトシゴもいればマツカサウオもいる。それにミノカサゴもいる。海の変わった形の魚達であった。
 子供はその中のあるものを見ていた。それは蛸だが普通の蛸ではなかった。赤くなくそのかわりに青と黄の柄であり変わっているというよりは毒々しい、そんな色の蛸を見ているのだった。
「何、これ」
「ヒョウモンダコですよ」
 老人が穏やかな笑みと共にその蛸がいる水槽を見上げて問う
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「非常に珍しい蛸なのですよ」
「そうなんだ」
「はい。毒もありますし」
「毒!?」
 子供は毒と聞いて思わず声をあげてしまった。
「蛸に毒があるの?」
「おかしいと思われますか?」
「だって蛸じゃない」
 彼はそこを言うのだった。言わずにはいられなかった。
「蛸に毒なんてあるの?」
「普通の蛸にはありません」
 老人はそのヒョウモンダコを見ながら話していく。蛸はその水槽の中で動くことはしない。壺の中でじっとしているだけである。それを見るとやはり蛸である。
「毒といったものは」
「この蛸だけなんだ」
「そういうことです」 
 また語る老人だった。
「ですから非常に変わった蛸なのです」
「そもそも毒のある蛸なんてはじめて見たよ」
「私も見るのははじめてです」
 老人にしろそうなのだった。
「この水族館においてはじめてです」
「うん。けれどこの蛸って」
「何でしょうか」
「奇麗だね」
 その毒々しい青と黄を見ながらの再度の言葉であった。
「何か宝石みたいだし」
「奇麗なものには毒があるのよ」
 今度は女が言ってきた。彼女もそのヒョウモンダコを見ている。
「花にも何にもね」
「そうなんだ。蛙と同じだね」
「蛙!?」
 蛙と聞いた男が声をあげた。彼は蛸は見ていないがそれでも仲間達の側にいるのだった。
「蛙だと?」
「そうだよ。中南米には蛙がいるけれど」
 子供はここでこんなことも言ってきた。アクセサリー ブランド 人気
「物凄く奇麗なんだよ」
「これだな」
 ここで青年が丁度自分の前にある水槽を見て話してきた。彼はそこにいる蛙達を見ていた。見ればその蛙達はどれも赤や緑や黒といった柄でありやはり毒々しい色をしていた。
「この蛙達だな」
「そうだよ。その蛙達」
 彼も話すのだった。
「それなんだよ。どう?」
「話を聞けば如何にも毒のある感じだな」
 青年はそれを聞いてまた蛙を見つつ述べた。
「その蛸と同じでな」
「全くだ。そうとしか見えない」
 男も言う。
「この柄はな」
「所謂警戒色ってやつ?」
 子供は今度はその蛙達を見つつ話すのだった。
「こういう色ってやっぱり」
「毒があるぞってわざわざ教えてくれるのね」
 女も言った。
「親切って言えば親切ね」
「ですから人間はこういった生き物には近寄りません」
 老人もまた言う。
「他の動物達もです」
「そうだね。それがいいよ」
 子供は彼の言葉を聞いて頷いた。

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第二話 天使その二十

「それならばどう来るか。前か後ろからだと思った」
「何故後ろだとわかった?それで」
「貴様は俺を侮ってはいなかった。だからだ」
「それもわかっていたか」
「貴様の口調はそれだった。俺を敵視こそすれ侮っていたものではなかった」 
 このことを見抜いたうえでの反転した攻撃だったのだ。それを見抜いた髑髏天使の鋭さこそ見事と言うべきものであった。
「だからだ。正面から来るのではなく後ろからだとな」
「そういうことだったか」
「一瞬遅れていれば死んだのは俺だった」
 緑の血が彼の周りにまで漂ってきた。彼はそれを見つつまた半漁人に言うのだった。
「危ないところだった」
「我を褒めるつもりか」
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「いや」
「違うというのか」
「俺もまた貴様を侮っていないだけだ」
 これが髑髏天使の返答だった。
「ただそれだけだ」
「そうか。貴様はそうなのだな
「何かおかしなところでもあるか?」
「いや」
 そうではない。これもはっきりと髑髏天使に述べるのだった。
「見事だ。戦士に相応しい」
「俺が戦士か」
「そうだ、戦士だ」
 半漁人はまた彼を天使ではなく戦士だと言ってみせるのだった。あえてという感じで。
「貴様はな。その天使に最後に言っておこう」
「末期の言葉か」
「そうだ。貴様はこれから次々に狙われる」
 緑の己の血の中で語る。
「我だけでなくな。そして」
「そして?」
「貴様を狙わずともただ殺戮だけを望む者もいる」
「魔物だからか」
「説明は不要だということだな」
「それはおおよそわかる」
 髑髏天使も既に察していることだった。魔物の本質というものが人のそれとは全く違ったものであるということを。ただ人を殺し喰らう存在のことはもう聞いているのだ。昔話で。
「だからそれはいい」
「そうか。その連中とも闘うことになるだろう」
「俺が望まずともか」
「貴様が」
 死の間際の為言葉が少し止まった。
「望むと望まずに関わらずだ。それが髑髏天使の運命miumiuだからだ」
「そうか」
「我が言うことはここまでだ」
 これが最後の言葉であった。
「ではな、さらばだ戦士よ」
 そして紅蓮の炎となって姿を消すのだった。水中にその人型の紅い炎が沸き起こる。そうして彼は消えたのだった。それを見届けた髑髏天使はその炎が消えると背を向け岸辺にあがった。岸辺に戻るとまずは本来の姿、人間である牧村来期の姿になるのであった。
「闘うのが運命というのなら」
 振り返って河を見つつ呟く。先程まで戦場だったその河を。
「闘う。何時までもな」
 こう言い残してサイドカーに乗り自宅に帰るのだった。闘いが闘いを呼びそれが彼の決意をさらに固いものにさせていくのであった。


第二話   完


                 2008・8・30

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第十七話 美濃の異変その七

「間違いなくな」
「では隠居させられて」
「そうしてですか」
「実験は長政殿が」
「そうなっておる。そして」
 信長の言葉は続く。
「長政という者。面白いようじゃな」
「というと傾いておられるのですか」
「長政殿もまた」
「殿と同じような」
「あの者は傾いてはおらん」
 ここでも否定する信長だった。彼は今はそれが多くなっていた。
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「至って真面目な男よ」
「真面目ですか」
「では別の意味で、ですな」
「面白い方と」
「そう仰いますか」
「そういうことよ。できるぞ」
 信長はまた言った。
「それもかなりよ」
「では美濃に攻め入ることもです」
「それも有り得ますな」
「やはり」
「いや、その前にだ」
 信長はわざとだ。前置きしてみせた。
 そのうえでだ。こんなことを話すのだった。
「食い合うぞ」
「食い合うといいますと」
「浅井がですか」
「美濃に攻め入る前に」
「これでわかるな」
 にやりとさえしていた。それが今の信長だった。
「ここまで言えば」
「六角と争いますか」
「美濃に攻め入る前にまずお互いがでござるな」
「そうなりますな」
「そういうことよ。だから今はじゃ」
 どうだという。そしてその先の言葉は。
「我等織田が美濃を手に入れる好機よ」
「ですな」
「今こそまさに」
「その時です」
「まあ無理はせぬ」
 それはだというのであった。ビトン
「何よりも大事なのはじゃ」
「義父殿ですな」
「あの方の御命を」
「何よりもですな」
「そうじゃ、まずは義父殿よ」
 その通りだと話す信長だった。
「義父殿を救えねば美濃を手に入れても何の意味もない」
「だからこそですな」
「ここは何としても」
「あの方を」
「そうだ。義父殿を助けられなければだ」
 信長は決意を込めて語るのだった。
「美濃を手に入れる意味なぞない」
「では。必ず義父殿を」
「その時はお助けしましょう」
「そうだ。よいな」
「はい、それでは」
「その時はすぐに兵を」
 織田の者達は何時でも動けるようにその態勢を整えていた。そしてであった。
 美濃ではだ。信長の予想通り異変が起ころうとしていたのであった。
 義龍がだ。己の周りに家臣達を集めそうして話すのだった。
「ではだ」
「はい、それではです」
「まずは弟君達をこの稲葉山に呼びましょう」
「そしてそのうえで」
「理由はもう考えておる」
 義龍は確かな顔で述べた。
「わしは病を得た」
「そういうことですな」
「そうして家督を継がせるということで」
「そうされるのですね」
「その通りよ。そしてだ」
 義龍の言葉はさらに続くのだった。

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